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5年ぐらい前を思い出してみると、「冠婚葬祭は必要最小限でいい」なんて話はあまり聞かなかった。国全体が貧乏になったのかもしれない。
じゃあ日本はどうやってお金を稼いでいるのだろう。物作りが1つ柱なのは確かだ。金融や農業で稼いでるという話はあまり聞かないし。そんなみんなの収入源である技術が次々と海外(主に欧米)へ流出している。
青色発光素子の騒ぎを覚えているだろうか。概要はこんな感じだった。
田舎の中小企業がすごい技術を開発した。しかし日本では誰も認めず、むしろ妨害工作ばかり。しかし欧米では認められて開発者はアメリカの大学の教授になった。
この話題は、当時はこう見られていた。
「日本の意地悪な教授に邪魔されたけど、正義の味方のアメリカに拾ってもらってよかったね」
しかし今になって考えてみると、みんなの収入源がアメリカにもっていかれたのは「良かった」話ではない。似た話は他にもある。ノーベル賞をとった田中耕一氏についても、ほぼ同様な「良かったね」ストーリーが語られていた。
「日本企業の意地悪な上司に邪魔されたけど、欧米の正義で勝ったよ。よかったね。」
このような正義の欧米に日本の悪代官が退治されるというストーリは、様々な分野で今も信じられている。その影響の大きさはインパクトファクターという数値をみると良く分かる。
インパクトファクターとは雑誌の影響力を数値化したもので以下にも詳細がある
教えて!goo インパクトファクターって? http://
ある分野で日本の技術雑誌と欧米の技術雑誌の影響力を比較結果は以下のようになる。
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日本:
IEICE TRANSACTION ON COMMUNICATIONS (電子情報通信学会通信論文誌)
0.290
アメリカ:
IEEE TRANSACTION ON MICROWAVE THEORY AND TECHNIQUES
2.027
ほぼ10倍違う。他のほとんどの分野でも同じような数値になっている。この影響力の違いで何がおこるかというと、ある研究者はこんなことを言っていた。
「来年のトレンドはXXXという技術だから、それを研究しないと有名な雑誌に載れない」
その技術開発のトレンドは、もちろん欧米側の都合で決まる。例えば車の自動運転コンテストは
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アメリカに有用な技術分野に優先的に投資されていたが、それはその分野全体の技術開発の方向性にも大きく影響を与えた。例えばプリウスの開発なんかやっても評価されないようになっている。
「正義の味方の欧米が日本の悪代官を退治してくれる」の幻想をみんなが信じてしまっているため、技術開発の分野では様々なものが(青色発光素子の ように)欧米に渡ってしまって国内に残らない。この問題は文部科学省も把握しているようだが何か具体的なことがされたという話は聞かない
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「日本の学会誌にはほとんど興味がなく、Nature等の有名誌への掲載を望む研究者は多い。こういう環境下で何が出来るかが問題である。」
さらに悪いことに、その「正義の見方」である欧米も別に公平な判断などしていない。日本とあまり変わらない。またはそれよりも悪いこともある。それについては私個人も多く体験しているが匿名性を失うのでここでは書かない。
しかし、以下のことをすると「正義の見方の欧米」の実態を知ることができるので、一度は体験してみてほしい。
オープンソース:
プログラムというのは少し勉強すれば誰でも書くことができる。そして土日を10日ほど潰せば、誰でもある程度役に立つプログラムを作ってソースを 公開することができる。そのソースを英語サイトを作って公開した結果がどうなるかを、ぜひ体験してほしい。「正義の見方の欧米」の実態が場合によっては日 本よりひどいことを体験できるはずだ。
ベンチマーク:
こんな明白なベンチマークがある分野
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では素人でも多少苦労すれば「プロ」に勝ってしまうことがある。自信のある人はそんな明白なベンチマークのある分野に一度挑んでみてほしい。その結果どうなるかを体験すれば「正義の見方の欧米」の幻想を信じれなくなるはずだ。
「正義の見方の欧米」の幻想を打ち砕く具体例を知っている人達は本当は沢山いるはずだが、仕事のためにあえて言わない人が多いようだ。
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